こんにちは、夕張市議会議員今川和哉です。
最近の議会の運営で課題となっているように思うことを書こうと思います。
★意見書の採択基準の再検討
地方公共団体の議会は、地方自治法第99条の規定に基づき、国会や広域自治体(道)に対して意見書を提出することができます。
地方自治法 第九十九条「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。」
意見書については過去の記事もご参照ください
https://kazuyaimagawa.jp/2021/04/26/1310/
現在、夕張市議会は、議会運営委員会で意見書を協議し、その過半数の賛成があれば議会として意見書を提出する取り決めとなっています。
定数8名のうち、議会運営委員会の構成委員は7名であるため、その過半数となると4名となります。
「4名の賛成で意見書が可決される」という自治体はほかを見ても例がなく、その内容が慎重に精査されているかは個人的には疑問があります。
意見書は「夕張市議会の総意」として出すべきものですし、そのように取り扱われます。
議員は、個々に様々な意見がある市民の代表として選ばれている中で、あらゆる政策にはメリットとデメリットがあります。
必ずしも全市民ためとなるわけではない政策への意見を議会として出すものです。現在の4名の賛成で提出される状況は問題があると考えています。
賛否については個々の議員の良識を信じていますが、提出される意見書案には元となる事実に誤認があるものや、論理的に整合性がとれていないものも散見され、特に4名の賛成で通った意見書の中には私から見ると問題があるものも多かったように思っています。
過去に出た意見書は以下の各議会の「議決結果」から(タイトルのみ)見られます
https://www.city.yubari.lg.jp/smph/shigikai/kaigiroku/giketukekka.html
そして、この状況が続くことについて以下のように懸念しています。
・国や道へ重大事項を求める場合の意見書が軽く見られないか。
日頃からデマを含むものや、論理的に稚拙な意見書を出している自治体だと思われてしまった場合、市にとっていざ本当に致命的な事項についての意見書を出す際にも「また夕張市のものか」というように扱われ、オオカミ少年のような状況になりかねないのではないだろうかと考えます。
(そもそも、一通たりともおかしな意見書は出すべきではないのですが…)
・国や道の不作為に大義名分を与えてしまうのではないか。
地方自治法第99条の規定に基づき地方自治体は意見書を出しているわけですが、出された先がこれについてどう対応するか、どのような法的効果があるかを示す法律はありません。
「意見書、出せるよ!」という法律だけがあるわけです。
現状の法律では「出しっぱなし」であるため、本来は、加えて受けた側がどういった対応をするかを明文化して義務付けなければならないものだと考えています。
将来的には、国や道には意見書への返答や内容に対する協議を行うための対応を求めたいところですが、基礎自治体から「簡単に軽く意見書が出る」状況は、意見書を軽く扱う国や広域自治体の不作為を是認する可能性すらあります。
・・・ということで、今後の議論にはなりますが、少なくとも4名の賛成で議会の総意として意見書が提出できる状況は是正したいと思っています。
意見書の本来の性質からすると、全議員での賛成または(ほぼ全員の賛成があり)反対はないことが基本となるのではないでしょうか。
★委員会等の会議における遠隔参加
今の状況下、議員内での集団クラスターなどもあり得る話ですし、何かあったときに議論の停止や議決ができなくなるという事態を避けるためにも、委員会では自宅や遠方からネットで参加して発言ができるようなルールとシステム作りを考えなければならないと思っています。議員だけでなく、職員もコロナの隔離期間等で参加できなくなることにも対応できますし、将来的には産休中の議員でも議論に参加できるというような利点もあります。
委員会室にWi-Fiすらない状況下ですが、早急に予算と効果を検討しつつ考えていかなければならないでしょう。
★議員の新たな成り手確保策
以前より議論を行っているものですが、なかなか確実という良い手段があるものでもなく難しい問題です。
夕張市は選挙で定員割れをしていないということもあり、有権者の興味も今のところそれほど無いのではないかとも感じています。
まあしかし、現実的な話をすると成り手確保となると報酬額の話は避けて通れないものですが、夕張市議会の報酬額18万円、源泉徴収後16万円という月額は、ここから住民税や保険料・年金や経費が引かれるもので、サラリーマンでいうと月の手取りは9万円くらいになるのが実情です。とはいえ削減率が多少元に戻ったところでこれで生活できるレベルではないでしょうし、このコロナ禍で報酬額の議論をするのは市民の合意が得られないだろうなとも思うわけです。
候補者の確保については、昨日「若手市議会議員の会北海道ブロック」のオンライン会議でも話題になったのですが、議員のなり手、特に新たな若手や女性候補の発掘というのは、どこの議会も苦労しているようです。新しい若手が出たという議会のことを聞くと、現職の議員や支持団体が一本釣りのような形で見込んだ候補に声をかけるといった結果で、新しい方が出た議会が多いようでしたね。
私もつぎの夕張市議会議員に立候補したい方を募集したいと思います。フォームから是非ご連絡ください。
夕張市議会議員 今川和哉