夕張市議会議員今川和哉です。
前回の記事に引き続き、3月の大綱質問まとめの後半です。
(前半:(1)コンパクトシティゆうばりについてはこちら)
市長の市政執行方針における 「居住の誘導について」と、
「都市機能の集積・拠点地区の形成について」について質問しています。
質問:今川和哉
(2)「居住の誘導について」
夕張市まちづくりマスタープラン等の都市計画においては、都市拠点以外の地域内再編地区ごとに市街地のコンパクト化を図り、人口減少地域から、生活利便性が高い都市拠点への住替えを誘導することが進められてきました。
また、それに加え、安心して暮らせるコンパクトで効率的なまちを目指すため新たに「立地適正化計画」が策定されることとなりました。
こういった計画により、市内における人口が減少する地域内再編地区と土砂災害の危険性が高い区域については、執行方針にも記載があるように、居住誘導を行っていくものと考えますが、それぞれの地域について、具体的に今後どういった対策にて「居住を誘導」することを検討しているのかお聞きいたします。
市長答弁
居住の誘導に関するご質問にお答えいたします。
まちづくりマスタープランの見直しによりまして、人口減少が進む本町・南部・真谷地・楓・登川地区につきましては、地域再編地区と位置づけ、現在の居住者に対しましては生活サービスの補完やコミュニティ機能の充実をはかり安心して暮らし続けることができる地区を形成することを目指すとともに、住み替えるには生活利便性の高い拠点地区への誘導を図っていくこととなっております。
夕張市の市街地には土砂災害特別警戒区域や土砂災害警戒区域が多く指定されております。ますは、地域の防災意識を高めるために消防職員による防災講話や避難訓練などを取り進めてまいる考えでございます。
今川再質問
答弁にありましたとおりコミュニティの改築・再編ということで、今までは公営住宅を中心とした集約、取り壊した公営住宅からの住み替えとして、再編した地域への入居を制限する政策空き家といった、どちらかというと再編地区に入居者を増やさないという受け身の事業が基本方針であったのかと感じています。
しかし、この広い行政範囲をもつ夕張市で人口がさらに減っていく中、このままでは税収が減りつつも市の管理負担の割合が拡大していくことが危惧されるところです。
例えば当市は水道代が高い自治体として悪い意味でニュースに取り上げられることがよくあります。これは広い居住範囲の隅々まで水道管を張り巡らせる必要があるという維持費が原因の一端にありますし、市道の管理や除排雪も委託先やマンパワーの面で、いつまでもつか分かりません。現に今季の大雪の日などは、除排雪が間に合わない市道があったのではないでしょうか。
今までのこういった市営住宅を中心とした地域内のコミュニティの集約から発展させ、より中心部への移住にインセンティブを与えることや、居住先の受け皿を用意するなど、積極的な居住誘導を行い、インフラの管理費を抑制していく、攻めの居住誘導が今後は必要ではないかと考えますが、市長の考えを伺います。
市長答弁
インセンティブをつけた移転の促進というのは一つの手段と思いますが、地域住民と対話を重ねながら今後検討してまいりたいと考えております。
今川再質問
私が提案したのは一例ですので、今後考えて頂きたいなと思うものですけれども、こういった新たな政策を進めるためには、対象地域の居住意向だとか引越しの意思の調査、また人口がその地域にいなくなった場合、どの程度インフラの管理費用が削減できるのかの算定を行うべきですし、数値目標を定め市道や水道管の総延長距離の削減を目指す、こういった数値目標や調査をしていくことも必要かなと思いますが、市長の考えをうかがいます。
市長答弁
現段階で、すぐにただいまご指摘いただいたことに着手するということは申し上げられないわけですけれども、当然のことながらコンパクトシティを目指していく本市にとって、ただ今ご指摘のありましたような、いわゆる居住区域の状態が変わることによって、どれだけのコストの削減が図れる、あるいはそこから更にお住まいの方が少なくなった場合に、行政という公共サービスの中で、どこまで住民の皆様にお応えできる・対応できるかできないのか、そういったこともお示しすることも重要なことだと考えておりますので、ご意見として承りたいと思います。
質問:今川和哉
(3)都市機能の集積、拠点地区の形成について
交通拠点、また交流拠点の機能としては、昨年南清水沢に拠点複合施設「りすた」が供用開始されたところです。
しかし、りすたに寄ってバスの待ち時間に買い物や食事をしようと考えたとき、現在それほど選択肢がある状況ではなく、将来的に民間企業が、りすたの集客を想定して、新規に出店計画を行うことができるか、と考えても、未だ現実的にハードルが高いように思われます。
「都市機能の集積、拠点地区の形成」といえるためには、商業的機能が欠かせないもので、そのためには積極的な市の動きが重要だと考えます。
都市拠点の形成による新たな雇用の創出や、中心部、拠点地区への市内企業の移転や新規創業を目指すための施策が必要であると思われますが、これについて市長の考えを伺います。
市長答弁
令和2年度に見直しを行いました、まちづくりマスタープランでは、今後20年間、一定程度人口の残る若菜・清水沢・紅葉山地区を都市機能及び居住機能が集積する拠点地区と位置づけ、医療や商業、観光交流、教育、子育て支援などの市内の生活や交流を支える都市機能や居住誘導を図り、生活利便性の高い拠点を形成する、ということにしております。
今後、拠点形成を効果的に進めていくために、まずは令和3年度にマスタープランの考え方に基づいた拠点地区の具体的な地区構想を検討しますことから、そうした方針も踏まえまして地区ごとの特性を活かしていくことができるよう様々な可能性について今後とも検討してまいります。
今川再質問
答弁においては、今後都市拠点を形成していくために、マスタープランに基づいた地区構想を検討していく、という答弁がございましたが、この検討方法について現在どのように考えているか、お伺いいたします。
市長答弁
令和2年度まちづくりマスタープランの改訂を行いましたけれども、それとほぼ同様のかたちを考えてございます。
一つは庁内、いわゆる市庁舎内における検討、それから市民の方からご意見を頂く場、その市民の方につきましても幅広い年齢の方からご意見を頂きながらの検討を進めていきたいと、そのように考えております。
具体的な検討方法の時期等につきましては、新年度になりまして、またご案内を差し上げたいと考えております。
今川再質問
今答弁頂いた、庁内や市民からの検討チームを作るということかと思いますけれども、この検討チームにおいては、どの地域にどういった施設があるか、民間企業の誘致という点も含めて検討されることとなるのかどうか、お伺いいたします。
市長答弁
地区構想の検討の内容の部分でございますが、これにつきましては新年度になりまして改めて検討していく内容につきまして整理をさせて頂きながら進めてまいりたいと考えております。その中で、さきほどご質問いただきました中でも出ておりますが、特に老朽化が進んでいる公共施設、そういったものにつきましては市が主体的に内容を確認する中で、市民の皆様にもその在り方についてご検討いただく、そういったプロセスを踏んでいくことになろうかと考えております。
今川
まちの将来像を市民にとってより良いものとしていくため、行政と民間の協同が欠かせないものと考えています。商業者・民間企業の指針となる市のプランを示して頂けるようお願い申し上げます。
(質問おわり)
今回の議会の「意見書」の話をしようと思います。
地方議会は、法に基づいて「意見書」というものを提出することができます。
「意見書」について
地方公共団体の議会は、地方自治法第99条の規定に基づき、国会に対して意見書を提出することができます。
地方自治法の規定は「第九十九条 普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。」
と規定されているのみで、その要件や範囲について詳しい規定はありません。
夕張市議会は、議長を除いた議員のうち過半数の賛成があれば議会として議案提出をする取り決めとなっております。
中には全員一致でなければ提出しない議会もあり、この取り扱いについては議会によって様々です。
過半数の賛成で提出するという取り決めですので、議案として提出されたあとは基本的に全会一致での可決となります。
夕張市議会は、議長を除くと7名のため、3名が反対または無回答でも4名の賛成を得れば過半数となります。
どんな意見書を出しているのかは、各定例市議会の「議決結果」で確認が可能です。
私の意見書の基本的な賛成基準は「将来世代のための政治」の理念と、意見書内容が実現した場合「夕張市民にとって良くなることが明らかか」どうかです。
意見書の案文は、そのタイトルと内容だけを見ると一見して良いものに見えるものですが、政策にはメリットデメリットが必ずあるもので、デメリットの部分は書いてはありません。
意見書のタイトルには当然「良さそうな理想」を謳っているため、反対をすると「そんな良さそうな意見に反対するのか!」と思われがちなものですが、一見して良さそうだから賛成という安易な提出はするべきではないと思っています。実現した場合も市民の税金から政策が実行されるということを忘れてはなりませんし、良いように見えるから何でも政治でやってほしい!ではいけないと考えています。
というわけで、実際私が意見書案に賛成をつけることは少ないのかもしれません。
なお、今回の定例市議会で提出された意見書は次の2点です。
1.高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定に向けた「文献調査」の撤回を求める意見書
2.選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書
私は、1については反対し、2の選択的夫婦別姓制度の法制化については賛成をしています。
・・・みなさん、これだけ聞くと、「お前は北海道の核廃棄物の受け入れに賛成か!?」と思いませんでしたか?
“Not In My Back Yard” という英語がありますが、まさにこの議論でしょう。「我が家の裏には御免」です。
私は現在夕張市議会議員ですので、個人的な思想信条は一旦置いておいて、北海道内には絶対反対、という立場で賛成反対を決めるつもりです。
ですので、他の市町村であろうとも北海道内での受け入れは徹底して反対の立場です。
じゃあなぜこの意見書には反対だったのか・・・ですが、
内容を見ると最終処分場(地層処分)の選定に反対するうえで「地上保管を進める」ことを良しとするような表現がある意見書でした。特に気になったのはこの部分です。
地上保管はただの将来世代へのツケ送りでしかありません。廃棄物の問題は、原発反対だろうとも結果的に電力の恩恵を受けていたこの世代で決着しなければならないものです。
危険な地上保管で現在の議論を停止してしまうことに反対しているわけです。これは、タイトルと賛否の表決だけ見てもわからない議員の立場だと思います。
余談となりますが、市議会議員の立場を置いておくと、すでに原発の廃棄物自体は出てしまっているわけですから、どこかで絶対に処分はしなければならないものです。
今のような、国がお金で釣って誘致させるやり方には賛成できませんが、廃棄物を外国や宇宙に飛ばすわけにはいかない以上避けて通れない議論だと思いますし、みんなイヤだからと先送りして地上に議論先延ばしのまま置いておくのは未来のために絶対にやってはいけないなと思うところです。札束を垂らして名乗り出るのを待っていないで人口規模や輸送コスト・食料自給率・農業風評被害への影響等を徹底的に分析しつつ国が指定してそれには責任をもって保障するべきだと思うのですが、国会議員も自分の任期中の論争は蓋して先送りみたいなところありますからね。
「選択的夫婦別姓制度の法制化」の意見書
については賛成をしていますが、単純な問題ではなく同姓を前提とした各種制度の見直しを合わせて行わなければならないものです。
司法書士業で携わることも多い戸籍実務への影響をはじめ、子どもの姓の選択など、派生して検討しなければならない課題は多いと思っています。
そもそもの婚姻制度が現在の世の中に合っているのか?という議論にもつながるかもしれません。
最近、札幌地裁では同性婚を認めないのは違憲という判決が出たところです。こうなると、重婚や近親婚を禁止していることに整合性もないでしょう。
内縁でも良い家族関係を築いている家庭は多くありますし、法律婚に法的意義を与える理由と必要性から見直しても良いのかもしれません。
また、今まで私が作った意見書としては、インボイスの見直しを求める意見書(可決)と、消費税の減税を求める意見書(否決)があります。
意見書は直接的に予算や法令を変えたりするものではありませんが、市議会ではどうにもならない課題について地方議会から意見を表明する貴重な機会と言えます。
夕張市議会議員 今川和哉