夕張市議会議員今川和哉です。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、去年12月に行った定例市議会の一般質問まとめを投稿します。
夕張市のコンパクトシティにつき、「居住の誘導」と「生活利便性の高い拠点の形成」、空き家対策について、夕張市内全域での超高速回線利用を目指したインターネット環境の整備についてとして、「教育現場、家庭学習におけるインターネットの利用状況」「光回線未整備地域における光回線の導入、5Gの可能性」の質問を行っています。
【コンパクトシティについて】
1.居住の誘導について
≪質問:今川和哉≫
居住の誘導について、市内の地域再編地区から拠点地区への誘導に対する取り組みの状況と、それら現在までの成果について質問いたします。
夕張市の都市計画においては、従前より、幹線道路沿いから離れた地域の人口が減少していくと想定し、立地適正化計画により、地域再編地区と居住誘導地区を設定して市街地のコンパクト化を図り、市営住宅の建て替え等の施策と共に、生活利便性が高い幹線沿いの市街地へ住替えを誘導することが進められてきました。
夕張市は、かつて炭鉱の開発を進めるために、山間部を切り開いて市街地が形成されてきたという歴史的背景もあり、広い行政範囲の中に集落・住居が点在することで、市が管理する水道、道路、橋、除排雪作業といったコストが高く、非効率であるという事情があります。
こういったインフラ維持コストの負担増は、人口減少と少子高齢化がさらに進むことで改善されるようなものではなく、今後はさらなる悪化が見込まれると考えます。インフラ維持コストを減らす政策を積極的に行っていかなければ、さらに人口や税収が減ることで、市民が負担するコストはより大きくなっていってしまうでしょう。
地域再編地区については、今後も引き続き居住誘導を行っていくものと考えますが、現在どのような取り組みを行い、どういった政策によって「居住を誘導」しているのか、移転を促すための施策の効果と状況について、お伺いします。
≪答弁:市長≫
今川議員のコンパクトシティに係る「居住の誘導」についてのご質問にお答えいたします。
夕張市まちづくりマスタープランでは、市内4地区を地域再編地区と位置づけ、現在の居住者が安心して暮らし続けることができる住環境の維持・確保を図ることとしております。
令和3年度に策定いたしましたコンパクトシティ構想の検討時に、ヒアリング及びアンケートを行ったところ、高齢者が多く町内会運営が困難である、交通手段等の生活サービス水準低下が不安ではあるが、今の地区で生活を続けたいという意見を数多くいただいたところでございます。
このことから、積極的な移転誘導は居住者の負担を招くばかりか、市外への転出を加速させるおそれがありますことから、現在の居住地区での生活が継続できるよう、生活不安の解消とともに、サービス水準の低下を防止し、居住環境の維持を基本として取り組んでおります。
一方で、居住環境が整えば市内転居も検討したいというご意向もあり、市内移転の相談があった場合には、拠点地区への誘導も行ってございますが、居住の受け皿となる住宅も不足していることから、拠点地区への誘導に資するような居住の確保・整備により、可能な限り夕張に住み続けれられる取り組みを進め、人口流出・減少の抑制を図っていくところでございます。
≪再質問:今川和哉≫
答弁の中で、ヒアリングやアンケートを地区で行ったところ 今の地区で生活を続けたいとの声が多くあったとのことですが、例えば1世帯だけが住んでいる場所のインフラ維持に 年に100万円かかる地域があったとします。この1世帯がどうしても住み続けたいとの意思があった場合にはどうしようもないとおもうのですが、この住んでいる理由、先ほど言った今の地区で生活を続けたいという理由が、引っ越しの予算だったり住み替え先が無いといった場合であれば、市でもできることがあるのではないかと考えるところです。
こういった住民との対話の中で、今の場所に住み続けたい理由や住んでいる事情の聞き取りと住み替えの支援策、こちらが市として提示できる支援策の両方が必要であるのかなと思われます。
例えばより中心部への移転にインセンティブを与えることや居住策の受け皿をもっと具体的に用意していく、こういった積極的な居住誘導を行い、同時にインフラの管理費を抑制していく、ケースごと柔軟に対応するような居住誘導策をもって、話し合いに臨むことが重要だと思いますが、市長の考えを伺います。
≪答弁:市長≫
今川議員の再質問にお答えいたします。
ただいま頂いたご質問の中で、例えば居住者が一人でもいる以上、市としてはインフラの維持管理を行わなければならないというのはご指摘の通りでございます。
その中で、例を挙げますと色々インセンティブをつける中におきましても住民の方の意向がそれぞれのお考えがあるということも現実的にございます。そういったことも踏まえながら、今後居住者の皆様に対する移転誘導や支援等につきましては、先ほどもご答弁させて頂いたところでございますが、今後も懇談会等でまずは市民の皆様の声をしっかり聴くということから進めていくということになるかと考えております。
一方、今川議員からの再質問の中にございました、いわゆる移転誘導の検討を市が進めていく中におきまして、例えばそれが市の財政負担につながる、そういった居住者の移転希望、こういった協力がある場合について、これを想定した枠組みの検討というものが必要があると考えております。
2.生活利便性の高い拠点の形成について
≪質問:今川和哉≫
夕張市では、都市再生特別措置法に基づき夕張市立地適正化計画を策定し、市内に「居住誘導区域」と「都市機能誘導区域」、それ以外の地域を定めているところです。
11月25日の行政常任委員会においても、市役所庁舎の移転先が南清水沢地区となる見込みであるとの報告もありましたが、
「都市機能の集積、拠点地区の形成」といえるためには、庁舎や「りすた」のような、行政的な機能だけでなく、店舗や飲食店、働く場所など、民間の商業的機能が欠かせないもので、そのためには、積極的な市の動きが重要だと考えます。
生活利便性の高い拠点として、民間商業機能を含めた都市機能を誘導するためにどういった政策を行い、都市機能誘導区域の形成においてどのような効果があったか、居住誘導区域と都市機能誘導区域、これらの区域を定めている意味と、実質的な区域ごとの違いを含めてお伺いいたします。
≪答弁:市長≫
今川議員の、「生活利便性の高い拠点の形成」についてのご質問にお答えいたします。
令和3年度に策定した「夕張市立地適正化計画」では、夕張市まちづくりマスタープランで定める2骨格軸、3拠点の将来都市構造の実現に向けて、医療・福祉・商業等の都市機能の集約を図る区域として、若菜・清水沢・紅葉山にそれぞれ「都市機能誘導区域」を設定いたしました。
また、生活サービスやコミュニティが持続的に確保されるように居住を誘導する区域として若菜・清水沢・沼ノ沢・紅葉山に「居住誘導区域」を設定したところでございます。
これら区域の設定により、本市が今後行う都市づくりの方向性について、市内外に示したところでございます。
拠点の形成にあたりましては、今年度から清水沢地区における新庁舎の整備に関する本格的な検討を開始し、拠点複合施設りすたも含めた周辺での賑わいに資する公園のあり方等についても検討を始めたところであります。
現在、目に見えた効果は表れておりませんが、市庁舎の清水沢地区への移転改築を示したことは、本市の都市づくりにおいて極めて重要と考えております。
・現在建設中の市立診療所等を中核とする医療・福祉の「若菜地区」
・りすた、こども園及び、今後、庁舎整備を行い都市機能の集積を図る「清水沢地区」
・JR、高速道路、道の駅等により地域産業や観光等を支える「紅葉山地区」
以上3地区の市の方針を明確に示し、魅力的な拠点を形成するため、公共・民間機能の強化・誘導を図るところであります。
≪再質問:今川和哉≫
都市機能誘導区域について、再質問いたします。
こちら中心的には方向性を示したというもので、この区域内に建物を建てるときに民間事業者に恩恵があるわけではないとの理解でありますが、交流拠点機能や交通の拠点として、南清水沢に複合拠点施設りすたの共用が開始され、既に3年が経過しようとしております。
しかし、りすた建設後も民間の店舗新築のような動きは見受けられず、りすたに寄って昼休憩やバスの待ち時間に食事をしようと考えた時も、それほど周辺に選択肢がある状況ではなく、将来的に民間企業がりすたや新庁舎にの集客を想定して新規に出店計画を行うことができるかと考えても、未だ現実的にハードルが高いように思われます。
今の夕張市で、このまま何もせず待っていれば民間企業が続々と新規開業をしてくれるような状況でしょうか?本当に都市拠点といえる地域を形成するためには、拠点地区への市内企業の移転や、民間の新規創業を目指すためのプランが必要と思われますが、これについて市長の考えを伺います。
≪答弁:市長≫
ただいまご質問のございました拠点地区における公共施設以外のいわゆる施設誘導、民間も含めての誘導ということでございますが、現在内部で協議をしている中でも、やはり地域再編地区を含めて色々、事業者、商業者さんのご意向等を確認していくといった作業も必要であろうと考えているところでございます。
またもう一つ、これは個人的にと言いましょうか、思うところでありますので、議会の答弁にはなじまないと言われるかもしれませんけれども、やはりできるだけ市内の事業者様に引き続き事業を続けて頂く、あるいはご活躍頂く、そういったことが重要だと捉えておりますので、今後の研究を進めるに際しましては、やはりそういった視点を忘れない いわゆる市外からも含めて幅広に事業者様をということではなくて、やはり市内でしっかり対応していくことが必要ではないかと考えております。
【 空き家対策について】
≪質問:今川和哉≫
さて私は、令和3年第2回定例市議会においても、「空き家対策の推進について」の質問を行いました。
引き続き、今回もなぜ空き家対策の質問をしているか、を述べさせていただくと、
空き家の存在は、地域の将来への負債であると考えるからです。
この先、夕張市で子どもたちが「観光を盛り上げたい」と考えたときも空き家の倒壊や老朽化をしているマチでは、景観の問題が出る。家を建てるにも、事業やお店をはじめようと土地利用をするにも、所有者不明の空き家が敷地にあっては使えません。隣地に危険な家屋や、ガレキなどがあるときも、土地の価値に成約が出る。
こういった負担は、建物を建て、利用していた世代が解決すべきものです。
何もせず、倒壊していく空き家を残しておくだけでは、マチの未来と子どもたちへのツケでしかない。今ここで我々が解決すべき課題であると考えます。
夕張市内も、12月に入り積雪が多くなってきました。おそらく今季も、倒壊のおそれがある家屋が出てくるでしょう。
市内で確認できる空き家には、幹線道路からすぐに見える家屋の屋根が落ちているものもあれば、すでに倒壊して隣の建物に損害を与えているような建物も複数確認されます。
とはいえ、建物というものは私有財産であり、空き家の管理はあくまで所有者の責務であることから、倒壊や落雪の危険があるなど、放置することが不適切な危険家屋も、まず権利を持つ所有者や、その相続人が対処すべきものです。
この点につき、前回の答弁では、親族調査を行い、所有者で対処が行われない場合は、相続人へ広く要請するか検討したいとの答弁もございました。
これらを踏まえまして、市内に存在する空き家や危険家屋についての調査状況と、建物所有者への指導や、空き家への対処の現状についてお伺いいたします。
≪答弁:市長≫
今川議員の、空き家の状況と対処に関するご質問にお答えいたします。
市内の空き家は、平成28年度の実態調査では398件となってございます。
その中でも、特に危険な家屋と判断した場合、所有者へ現状と安全対策の通知を行っているところです。
前回調査から5年以上経過しており、この間、人口及び世帯数が減少しておりますことから、空き家の数も相当変動していると推察されますことから、来年度、空き家実態調査の実施について検討を行っているところでございます。
市といたしましては、「個人の住宅は所有者が処分する」ことを基本方針といたしまして、これまで、
・行政書士会の協力による空き家相談会
・空き家解体費補助
・リフォーム補助
・中古住宅取得補助
等を実施しているところでございます。
なかでも、特に空き家対策に有効であると考えているのが、空き家解体費補助でございますが、令和4年度は6月末時点で当初予定件数である10件の申込があり、更に問い合わせが多数あったことから、9月補正にて更に10件、合計20件を対象としました。が、既に20件全て申込が完了し、現在は受付を終了しているところでございます。
市民の安全安心のため、これ以上危険な空き家を増やさないよう様々な取り組みを行っていくとともに、危険空き家の情報収集に取り組んでいくところでございます。
≪再質問:今川和哉≫
危険家屋については2015年に施行された空き家等対策特別措置法に基づく特定空き家の認定をすることで、法律上様々な対応を取ることができる形となっております。
市内の空き家における、この特定空き家への認定に向けては現在どのように対応されているか、お伺いいたします。
≪答弁:市長≫
特定空き家の基準は、空き家対策特別措置法で定まっておりまして、認定までに長期間、大体約1年間と言われているところでございますが、長期間要するとともに、特定空き家認定後、市で除却を実施した場合、他の市町村の状況を見ましても債権回収は非常に難しく、結果、市の負担となっている事例があると、そのように承知をしているところでございます。夕張市といたしましては、空き家放置による市の負担を軽減するためには所有者自身による処分を促進しているところでございます。
≪再質問:今川和哉≫
空き家対策は全体として危険かどうかという基準での対応が中心であると思われるのですが、空き家対策においては、個人的には「景観や、まちの景色」という観念も考えるべきと思います。
市議会で実施したゆうばり小学校6年生との意見交換会でも、景観に問題のある空き家についての問題提起が、小学6年生からされていました。
景観の悪化は、観光や経済にもマイナスとなるマチの負債ともいえ、将来へのツケともなると考えます。
また、一部のモラルのない動画配信者や、住んでいる市民がいることを想像できていない市外の非常識な方々がわざわざ撮影に来て、ゴーストダウンだの、破たんした廃墟のまちだのと面白おかしく取り上げるのも、この問題のひとつであると考えます。
今後、空き家への取り組みや処分の施策を進めるうえで、景観の悪化を防ぐことについても重視していくべきと提言をいたしたいと思いますが、市長の考えを伺います。
≪答弁:市長≫
議員からご質問のありましたように、市あるいは市民の皆様に対しては、景観のことを含めてああいった動画配信をされることについては許しがたいと受け止めるところでございます。一方では、表現の自由といったものがあり、なかなかこちらからも動画の配信について止めて頂きたいと言えないのも現状ではありますが、ご指摘がありましたとおり、景観についても、夕張の長い歴史の中でもそうだったと思います。例えば炭鉱が閉山した場合に炭鉱の会社が放置していった工場、倉庫等々、そういった関連施設がどんどん老朽化して朽ちていく、そういったことがいわゆる企業進出につながらない、観光客の誘致につながらない、そういったことがあっての観光政策への転換だったという歴史もございますので、ご指摘ありますように景観につきましてもご指摘のとおりだと思いますので、来年度空き家実態調査を実施していくことを今検討しているところでございますが、本日頂きました意見も含めまして、その中で今後の対応策につきまして検討をさせて頂くとお答えするところでございます。
【夕張市内全域での超高速回線利用を目指したインターネット環境の整備について】
1.教育現場、家庭学習におけるインターネットの利用状況について
≪質問:今川和哉≫
まず、教育現場、家庭学習におけるインターネットの利用状況についてお聞きいたします。
コロナ禍を契機として、ここ1年は全国的にも、家庭学習におけるインターネット利用の機会が増えているものと考えます。
今議会でも「児童生徒情報化促進経費」の予算が提案されているところですが、夕張市の教育現場においては、家庭でインターネットを利用する機会がどの程度あるものか、教育長に伺います。
≪答弁:教育長≫
今川議員の教育現場、家庭学習におけるインターネットの利用状況についてのご質問にお答えいたします。
GIGAスクール構想に基づきまして、本市におきましても、小中学校に通信環境を整備し、自動生徒1人1台タブレット端末を実現したところです。
端末の持ち帰りについては、新型コロナウイルス拡大防止による学校閉鎖、学級閉鎖などの限られた条件のもと活用しているところですが、今後は、家庭学習でも端末を活用できるよう、フィルタリングソフトを導入するなどして、不用意なアクセスによるトラブル回避の策を講じるなどしたうえで、端末の持ち帰りを今後進めていきたいと考えているところです。
≪再質問:今川和哉≫
タブレット一人一台を持ち帰り、今後家庭学習に使いたいとの答弁がありましたが、現在、市内1割の家庭が超高速回線を利用できないという現状がありまして、この中には子どもがいる家庭も当然あります。
今後、家庭でのインターネット利用に困難がある生徒がでたときに、どのように対処すべきと考えているか、教育長の考えをお伺いいたします。
≪答弁:教育長≫
現在のところはネット環境が十分でないご家庭に対しましては、プリントなど紙媒体で対応しているところです。
学校閉鎖、感染拡大防止ですので、外出をせずに自宅待機ということが原則ではありますけれども、健康状態に問題のない児童・生徒につきネット環境が十分ではない生徒につきましては、拠点複合施設りすたなどを利用するということも可能になるよう検討していかなければならないと思います。
≪再質問:今川和哉≫
プリント・紙などで代用することを考えているとのことですが、プリント・紙では難しい教材もあるのでは、ということと、りすたも利用するということですが、例えば富野・滝ノ上からわざわざインターネットの学習のために、りすたに行く生徒がいるものか、現実的な問題があるかと思うのですけれども、これは改善できないものか、検討の予定はないものか、お伺いいたします。
≪答弁:教育長≫
他の対応が検討できないかということにつきましても、例えばポケットWi-Fiといった対応が考えられると思うのですけれども、それにつきましても今後課題がありますので、そういった課題をどうクリアしていくかということも含めまして検討していかなければならないと考えております。
2.光回線未整備地域における光回線の導入、5Gの可能性について
≪質問:今川和哉≫
総務省のブロードバンド基盤整備率調査によると、
全国の光ファイバの整備率、世帯カバー率は、令和3年3月末で99.3%に達しているとのことです。未整備は39万世帯とされています。
前回の質問で取り上げた平成30年の調査では、全国の未整備世帯は66万世帯だったかと思います。ここ3年で、全国の光ファイバー未整備の世帯は半分近くまで減ったことになります。
これは、コロナ禍のデジタル化推進で、地元負担の少ない国の補助事業ができ、総務省も推進していることが大きいと聞いています。
例えば、北海道の十勝管内では、農村部も含めた十勝振興局内の全ての世帯で100%となったと聞いています。この十勝管内の自治体も、国の補助事業を活用して整備を進めたものとのことです。こういった農村部でも、超高速回線、光ファイバー網があることが当然という、自治体運営がトレンドであり、国も「デジタル田園都市」として推進している当たり前の今後の社会インフラといえます。
一方の夕張市において、高速・大容量の通信が可能な光ファイバー回線を家庭につなぐことができる居住地域の割合は、令和2年度末の調査においては、90.31%であるということで、市内約1割の世帯が、光ファイバーが整備されていない地域に居住していることになります。
これは主に農村地帯や山間部に住んでいる家庭が、超高速ブロードバンドを利用できない状況にあるということになりますが、こういった地域には、若い世代の農家をはじめとした子育て世帯なども居住しています。
先ほど教育長から答弁があった教育のオンライン化についても、今後進めていく必要もありますし、これら農家や山間部にお住いの世帯への情報格差是正や、将来的な農業分野へのICT改革を進めるために、全世帯への光回線導と、5G整備の検討を行うべきではないかと考えます。
現在、こういった光回線の未整備地域で使われているADSL回線は、基地局から遠い家庭では特に遅くなります。家族数名が同時に使うことで、さらに遅延や、つながらない事態が出てくるでしょう。
10月に行った夕張市議会報告会においても、農家の方、子育て世帯の方から、インターネット環境の整備についてどうにかできないかと要望が出されていました。こういった要望は、市にも届いているのではないかと思います。
コロナ禍で加速した様々なサービスのオンライン化、テレワークの増加、教育機関でのインターネット利用、今後普及が見込まれるIoTの拡大等、地方と都市部との情報格差を是正することが重要となっていることに加え、これから政策として市民に必要なサービスを提供していくうえでも光ファイバーは欠かせない生活基盤であることは間違いありません。
市内全域で超高速回線が利用できる環境を整えることが必要ではないかと考えるところですが、光ファイバー通信や5G等の市内のインターネット環境の整備について、市長のお考えを伺います。
≪答弁:市長≫
今川議員の、『光回線未整備地域における光回線の導入、5Gの可能性について』に関するご質問にお答えいたします。
昨年の第4回定例市議会において、
・市内全人口の1割程度が、通信事業者が敷設した光回線の対象地域外に住んでいること。
・当該地域は、まちづくりマスタープランにおいて『新たな居住の抑制を図る』地域が多く、コンパクトシティ推進の観点から、長期的な維持管理も必要となる光回線設備を新たに敷設することは当面難しいと考えていること。
について答弁させていただきました。
現状におきまして、その考えを変更するに至っておりませんが、一方で議員からのご指摘もございました、地域に根差す産業の育成と、そこに住み続ける市民の利便性のため、情報化推進の必要性は認識しているところでございます。つきましては、過大な投資と維持管理を必要としない新たな情報化技術の導入方法も含め、国の動向を引き続き注視して参りたいと考えております。
≪再質問:今川和哉≫
市長のおっしゃるとおり、新たな投資や再編地区にお金をかけて整備をするつもりはないというのは分かるところでもありますし、こちらもいくらでもお金をかけて絶対に整備しろと言いたいわけではありません。しかし、それ以外のお金のかからない取り組みをしたのか、検討を進めたのか、ということを問いたいと思います。
例えば市長が総務省へ行って要望をしたのかということや、NTTの通信局で夕張市の整備の見込み、どのくらいでやってくれないかというものを担当者と懇談して頼んだのか、今後NTTに市長が行って見込みについて聞いてみるといった手段を取るお考えはないのか、お伺い致します。
≪答弁:市長≫
議員の中からご質問の中で触れて頂きましたように、やはりこのコロナ禍の中においてデジタル化の推進ということでは国も財政支援を含めて色々とお取組みを頂いてきたところでございます。
その中で、例えば私が総務省の方へ行って情報収集であるとか相談をしたかということのご質問でございますが、こちらから出向いた訳ではないのですが、NTTさんの方からは光ファイバー敷設に関する情報収集をさせて頂いたところでございます。結果と致しまして、先ほど答弁させて頂きましたように非常にイニシャルコストが膨大にかかるということでありましたので、現状ではなかなか難しいという判断をしたところでございます。
一方で、先ほど答弁をさせて頂きました、過大な投資、維持管理を必要としない新しい情報化技術の導入方法を含めて、国の動向を引き続き注視して参りたいということで答弁をさせて頂いております。
こういったものについて夕張市の地理的状況でありますとか、人口減少あるいは高齢化が進む中にあっても、今後庁舎の移転改築も検討を始めたところでございますし、当然自治体デジタルトランスフォーメーションなど、無視できない課題もございます。
それを実現するために何か良い手立てはないかということは、これからも情報収集に努めて頂くと、お答えさせて頂きます。