こんにちは、夕張市議会議員今川和哉です。
6月議会にて行った一般質問のまとめを掲載します。空き家対策の推進について質問しております。
1.倒壊家屋や、危険な空き家への対応
質問:今川和哉
夕張市は、炭鉱全盛期からの急激な人口減少もあり、市内を見渡したところ、空き家の増加状況は大変深刻な状態です。
昨年から2021年にかけての冬の期間は特に、積雪による空き家の倒壊や、損壊の被害が多く見受けられました。その中には幹線道路からすぐに見える家屋の屋根が落ちているものもあれば、倒壊して隣の建物に損害を与えているような建物も複数確認されます。壊れた木材や金属が出ている建物は、今後台風が来た場合、ガレキ飛ぶなどの可能性も高く危険です。あまり長く放っておけるものではありません。
ただ、建物というものは私有財産であり、あくまで空き家の管理は所有者の責務であることから、倒壊や落雪の危険があるなど、放置することが不適切な危険家屋は、まず所有者やその相続人へ適切に対処することを要請していく、というのが必要な対応かと考えますが、現在、そういった空き家や危険家屋について、市としてどのように対応を行っているか伺います。
市長答弁
倒壊家屋や危険な空き家への市の対応についてのご質問にお答えします。
ご質問の中でもございました昨年度の大雪によりまして、空き家の一部が倒壊し、道路の一部をふさいだもの、または隣地建築物へ被害が及ぶおそれのある事例につきましては7件発生しております。
これらの空き家については、パトロールや市民からの通報によりまして、倒壊のおそれ又は倒壊を発見した段階で空き家等対策の推進に関する特別措置法、いわゆる空き家等対策特別措置法に基づきまして、固定資産税情報や住民登録情報などを利用して所有者の特定に努めているところでございます。
これらの調査によりまして、所有者が特定できたものにつきましては、空き家の状況写真や文書を送付いたしまして、適正な管理を行うよう対応を要請しておりますけれども、特に危険回避を要する緊急の案件につきましては、周辺住民の方にも聞き取り調査を実施いたしまして、所有者の電話番号などを確認させて頂いた後、対処要請を行う、そういった場合もございます。
【再質問】今川和哉
答弁の中で、今年の落雪などの被害を市で確認したものが7件ほどあるということでしたが、こういった空き家について近隣や町内会等から苦情や危険家屋の情報が市に寄せられることが今までもあったのかと思いますが、その際の対応と、報告して頂いた近隣の方へのその後の対応の状況等はありましたらお願い致します。
答弁:課長
今回の7件につきましては、全部住民からの通報という形で、先ほど言ったような聞き取り調査だとか所有者の確認を行っているところです。
【再質問】今川和哉
所有者が亡くなっている不動産というものが、かなり市内では多いのかなと考えるところです。そういった物件については相続人への指導強化が必要ではないかと考えるところですが、現在おそらく一部の相続人であったり固定資産税の納税義務者である相続人に対して通知を行っている場合がほとんどかと思います。ですが、今後は可能な限り相続人全員に対処してもらうように通知することが、相続人同士の話し合いの促進や解決につながる場合もあるのかなと考えるのですが、そういった対応については検討可能でしょうか。
市長答弁
固定資産の所有者の特定ができましても、名義変更をされていないままお亡くなりになられている場合も、ただいまご質問頂いたように、ございます。この場合につきましては、親族調査を行っております。今後、所有者が判明して対処を要請しても行われない場合、広く要請するかどうかということについて検討したいと考えております。
【再質問】今川和哉
広く要請することを検討して頂けるとのことで、是非お願い致します。
次の再質問なのですが、空き家対策につきましては建設課と税務といった行政の中での横のつながりと連携が大切かと思われますが、例えば空き家のうち固定資産税がないだとか、または税が未納となっている空き家がどの程度か把握していれば、お願い致します。
答弁:課長
基本的に建設課の方では、空き家ということになると所有者という観点から確認するということなので、未納ある・なしではなく所有者の確認ということで情報を利用させて頂くところでございます。
2.空き家対策特別措置法の執行状況
質問:今川和哉
空き家等対策の推進に関する特別措置法、いわゆる空き家対策特別措置法が、
平成27年に全面施行され、それを受け、本市でも令和元年5月に、夕張市空き家等対策計画を定めたところです。この計画の策定から2年が経過しておりますが、
現在の計画の執行状況について伺います。
答弁:市長
本市におきましては、空き家等対策特別措置法に基づきまして、令和5年5月に空き家等に関する対策を総合的に実施するため、夕張市空き家等対策計画を策定したところでございます。
この計画におきましては、まず所有者等の意識の向上、次に地域住民・民間事業者と連携した対策の取り組み、次に特定空き家等の取り組み、そして住民からの相談に対する取り組み、こちらを基本方針としておりまして、このうち所有者等の空き家に関する意識向上と住民からの相談に対する取り組み、こちらにつきましては、平成29年12月に北海道行政書士会と空き家に関する連携協定を結び、平成30年度から空き家の相続や売却などに関する無料相談会を開いておりますが、市外の所有者が相談しやすいように、令和2年度には札幌でも開催してきてございます。
また、空き家の適正管理や除却などの情報を載せました無料冊子を作成いたしまして、相談者に配布するなど、空き家に関する意識の向上や相談に対する取り組みを行っております。
次に、空き家の除却促進のため、夕張市老朽化建築物等除却工事費補助を平成28年度から実施しておりまして、除却工事費の30%、限度額20万円の補助を行ってきたところでございます。
平成30年度からは、空き家の無料相談会の案内と一緒に除却費補助の案内、こちらにつきましても固定資産税の納付書の発送時に同封をし、それまで例年8件程度除却費補助が利用されてきておりましたけれども、令和元年度におきましては17件、令和2年度は15件利用されておりまして、維持管理や再活用できない空き家に関する意識も向上されていると考えております。
また、地域住民・民間事業者と連携した対策の取り組みについてでございますが、こちらは令和元年度に空き家の多い市内3地区の町内会に対しまして、空き家に関する相談、これが行政書士会でも受けることができる旨の説明を行ってきております。
最後に、特定空き家への取り組みといたしましては、危険性の高い空き家の所有者の特定
調査を進め、適切な管理の指導に努めているところでございまして、今後とも計画に基づき空き家対策の推進に努めてまいります。
【再質問】今川和哉
答弁の中で、空き家の無料相談会を市内・札幌でも開催しているとの答弁でございましたが、こちらの相談会でどういった相談があったか、解決事例があるかどうかを、お聞きいたします。
答弁:市長
空き家の無料相談会でございますが、平成30年度に夕張市で実施し20件、令和元年度で14件、令和2年度には夕張市と札幌市で実施をして12件の相談が寄せられています。ご質問のありました主な相談でございますが、売却や相続に関する相談がほとんどでございまして、特に売却の相談というものが多くございましたので、行政書士会から全日本不動産協会と令和元年度に協定を結び、令和2年度の相談会から不動産協会にも参加して頂き、売却についての相談強化を行ったところでございます。
【再質問】今川和哉
次の再質問ですが、この法律では、さっきの答弁にもあった特定空き家、こちらの認定をすることで様々な対応を取ることができる形となっております。
市内の空き家における、この特定空き家への認定に向けた状況について、現在どのようになっているかお伺いいたします。
答弁:課長
現在、夕張市の方ではまだ特定空き家の認定まで行きつけておりませんけれども、それに行くつく前に何とか倒壊等を防ぎたく所有者の特定を行って指導を行っているところでございます。
今川和哉
まだ認定している特定空き家は無いとのことですが、市内を見渡すとやはり危険な状態にある家屋も多いと思いますので、是非ともこちらの法律が利用できるような体制を取っていただければと思います。
3.空き家の利活用の促進について
質問:今川和哉
今までの質問は、すでに危険家屋となり解体除去しなければならないような建物への対策が中心でありましたが、そういった建物を出さないための予防的な政策というものも重要ですし、建物という財産が、安全な状態で利活用されていれば、当然それに越したことはありません。
空き家、建物というものは管理、利用されていない状況が長く続きますと、劣化が進行し、危険家屋となる可能性が高くなってしまいます。
空き家となった建物を早期に利活用することが、危険家屋発生の抑制につながるものと思われますが、空き家の利活用や流通の促進について、施策の状況を伺います。
答弁:市長
空き家の利活用及び流通の促進についてのご質問にお答えします。
認識については市も全く同じでございますが、やはり長期に利用されていない空き家につきましては危険空き家につながるものであると考えてございます。
そのため、市といたしましても空き家の利活用、それから流通の促進施策として平成29年度から夕張市中古住宅取得補助金を実施をし、市民に最大75万円、転入者の方には最大100万円の取得費補助を行い、中古住宅の利活用と流通の促進に取り組んできたところでございます。
その結果でございますが、平成29年度から令和2年度の4年間で、25件の中古住宅の取得が行われたところでございますし、今年度令和3年度も現在申請の受付を行っているところでございます。
また、先ほどの答弁でも述べさせていただきましたが、北海道行政書士会と空き家に関する連携協定に基づきまして、空き家に関する無料相談会を実施しております。空き家に関する相談も受け付けておりますので、空き家の利活用と流通の促進については、今後も努めてまいりたいと考えております。
【再質問】
この空き家対策については市でも当然行っており、国や北海道でも行っているのかなと思います。北海道との連携や北海道からの情報提供、または市から北海道や国へ情報提供というものはどのようになされているのか、お伺いいたします。
答弁:課長
現在のところ、空き家の所有者の確認を行っているところで、まだなかなかそれを北海道と連携して情報を流すことができていないという状況にありますけれども、今後空き家の整理を行った後、連携できるものがあればしていきたいと考えております。
今川和哉
空き家対策においては、まず市民の安全や財産を守るということが最優先の課題ではありますが、やはり景観やイメージというものも大事かなと思います。道路沿いの廃屋がイメージを損なっているのは事実ですが、このまちに住んでいる者として、記事やインターネットで夕張のまちを撮って廃墟だなんだと書かれているものを見るのは気分が良いものではありません。
市長や職員の皆様もそう感じているものがあれば、積極的な取り組みを進めて頂きたく改めてお願い申し上げます。
以下は空き家対策に対するその他の私見ですが、他の市議会等にて考えている方の参考になるかもしれませんので書いておきます。
(1)相続放棄により所有者のいなくなった不動産の取り扱いについて
財産(プラスのもの)がない方が亡くなった場合、相続放棄となることも多いです。固定資産税等の滞納のような債務については放棄により相続人は義務を免れますが、不動産をはじめとした相続財産の管理については少し条文上異なります。
民法第940条第1項
「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となったものが相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」
どの程度の義務であるかは明確な定義や取り扱いがなされているものではありませんが、相続放棄をしても一定の管理義務が残るケースがあるというわけです。
ですので、放棄をした(元)相続人に対しても、応急処置的な対応を求めることや、放棄により相続人がいなくなる場合は相続財産管理人の選任していただくよう要請するといった取り扱いを行ってもよいのではないかと考えています。
道義的にも、市が税金により管理人を選任するための費用を捻出したり代執行を行う前に、関係者に対応を求めるのが本来ではないかと思っています。
(2)相続人の調査について
答弁にも出ていますが、基本的に自治体は固定資産税の納税義務者とやり取りをしているのではないかと予想します。
夕張市も、固定資産税の通知と共に空き家対策パンフレットを同封したりしていますが、相続手続きが済んでいない家屋については相続人全員に通告するほうが良い場合もあると考えます。
放置するとさらに相続人が増える可能性が高いことに加え、時間が経っていよいよ崩壊しそうなときに初めて他の相続人が状況を知った場合、寝耳に水となるからです。
古い建物の場合は数次相続により大量の相続人がいる可能性もありますが、しっかり戸籍を調査すれば相続人の特定は可能です。
仮に行方不明者がいた場合でも取り得る法的手段(不在者財産管理人選任等)はありますし、当然予算的な制約はありますが、全く無理なケースはそれほどありません。
6月議会については以上となりますが、以下は今月数回新聞でも取り上げられている夕張市の公設塾「夕張学舎キセキノ」の件です。
私が説明を受けて認識している話と新聞記事の内容は異なることから、市の正式な説明を待っているところです。
公設塾については、地域おこし協力隊での継続的な人員確保が難しくなり、まず当初オンライン英会話で協力いただいている学習塾様に見積等を打診したが、講師派遣が不可能という回答であったため、令和2年度中に可能な業者を探していたところ、現在委託している業者様に協力いただけることになり、公募した結果もこの1社であった
というものであったと思います。私も議決の前提としてこの認識でおりました。
ただ、市とお世話になっている業者における認識の違いや問題点があることは否めず、
市内部での連携不足が根本の問題かと思いますので、今後の改善点含め検討し、説明を求めてまた報告したいと思います。
夕張市議会議員 今川和哉