夕張市議会議員今川和哉です。
さて、過日「石炭博物館模擬坑道」、昨年の火災後注水により水没し水抜き作業を行っていた坑道内を視察いたしました。
こちらは本物の炭鉱跡を使った展示施設であり、一度改修を行ったとはいえその部分は火災により燃えてしまっております。
模擬坑道とは言いますが、実際に炭層がむき出しとなっている明治時代に使われた本物の坑道です。火災や注水による損傷状態も不明であり、いつ崩れてもおかしくはない、安全性が十分に確保されている状況ではない現場となっていますので、一般公開はされておりません。
議員もヘルメットを装着のうえ、仮に崩落した場合にも議会が継続できるよう2班に分かれての視察となりました。
岩盤が崩落して鉄骨のアーチや柱も重さで折れ曲がり、進めない箇所もありました。崩落個所の手前まで行きましたが、そちらもかなり上の炭層(8尺層が抜け落ちて6尺層が視認)まで見えていたため、地震があればいつここも押しつぶされるかわからない状態に思えました。
原因究明をするべきだ!という市民の皆様の声も聴かれるところですが、やはり発火箇所と想定される地点近くは損傷も激しく崩落で進めない状況です。
ここに捜査を担当する警察や消防が入っていくのは事実上不可能だろうと思いますし、仮に入って行けたとしても、火災と注水で原因が特定できるような証拠物は燃え尽き流されている可能性が高いだろうということが容易に想像できます。
視察を終えて今後の坑道についての私見
何らかのかたちで模擬坑道を復活させ、市民や炭鉱の歴史を知りたい人たちに公開したい!という希望はあります。
しかし、土砂や崩落が実際にかなりひどい状態で、これを人力で撤去清掃し、また安全確保して作り直すとなると、最初に作るより費用がかかるでしょう。中々夕張市だけで解決できる問題ではないだろうと思います。
【完全に直す必要はないのではないだろうか】
炭鉱火災や注水というのは炭鉱の歴史の一部と言えるのではないでしょうか。
安全確保ができない状況は改善する必要はありますが、水没した坑道の雰囲気を残した展示物とするのも良いのではないかと思います。
実際私も話を聞いたり、綺麗な状態の模擬坑道に入る以上に、今回の坑道調査で炭鉱火災の威力や恐ろしさを実感した部分があります。
【新設のほうが安い可能性があるのではないだろうか】
元のルートを復旧するよりも、崩落のひどい箇所は封鎖し、入って行ける部分と別の坑道や新設ルートを組み合わせる等して、新たな模擬坑道を作ることも考えられないだろうか。
こちらは歴史・伝統的な部分と費用的な部分(安全性も含め)を考えて複合的に議論していけたらよいと思っています。