8月8日、鈴木直道夕張市長がJR北海道に石勝線夕張支線の廃線を要請したとのニュースが大きくとりあげられていました。
私も家に帰ってこのニュースを見て大変驚きました。
【ニュースへのリンク】
道新WEB http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0302144.html
NHK http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20160808/4603381.html
ニュースの真偽の程はどこまでかわかりませんが、大きな決断をしたものだと思いました。
夕張市の鉄道事情
大正時代から使われている市内鉄路のトンネルや鉄橋は、安全性の面でも、今後長く使い続けることは不可能で、100年以上が経った今、これらの更新には9億円以上がかかると言われています。
現実的に、JRに対して「この費用を全額捻出して夕張支線を永遠に存続させろ!」
と要求してもハードルが相当に高いことは誰もがわかっていました。
一方、上下分離方式
(上の車両はJRで走らせるので線路や橋などは自治体でお金を出して維持してねという方法)
を採用してまで、鉄路を維持する費用対効果は無いでしょう、そもそも夕張市にそんな予算はありません。
そして、石勝線夕張支線とは、並行して夕鉄バスの路線があります。
他の廃線が議論されている自治体とはこの点も違います。
JRにしろ夕張市にしろ国にしろ、鉄路を維持するための莫大な費用をこれに投じるくらいなら、
他の交通手段に投資をして整備するほうが費用対効果、夕張市全体の事情を見たときに最善…
という考えなのかと思います。
私も、廃線を予想しないでJRが今後永劫に残ることを前提にまちづくりを進めて、ある日突然JRが無くなったら、本当に不便なまちになってしまうのではないか。
この状況が最悪で、避けるべきであり、残すならほかの何を犠牲にしていくら費用をかけてでも残す決断をして、具体策を考えなければならない。
残すことが難しいなら、将来無くなることを想定して、「極力交通が不便にならない代替策」を早くから考えてまちを作るべきだ。と思っていました。
鉄道の駅を中心にまちづくりをして、将来駅がなくなったら、それを前提としていた施設は立ち行かなくなります。
土地を選ぶ時だって、無理して駅の近くを選ばなければもっと安くていい立地があったのに。ということになるでしょう。
また、鉄道が無いと決まれば、今後新たな土地利用を考えるときに、今ある鉄道用地を候補地とできるかもしれません。
政治家は実際の結果に責任を負うものですので、単に交通政策だけではなく、まち全体のあり方を考えて実行しなければなりません。
ただ、現在JRを利用している市民の方、旅行者の方がいるのも事実。
特に、今JRを使っている市民の方は、「これに乗らなければ買い物もできない、病院・職場・学校へ行けない」など、本当に必要で乗っている方ばかりです。
減便のときもそうでしたが、現に今必要としている方達への配慮、代替手段の提供が大前提・必要不可欠なことは間違いありません。
移動できるだけでなく、当然料金の面も含めてです。夕張~紅葉山などは、バスとJRでは往復で1000円以上違います。
加えて、先ほどの補修が必要なトンネルや橋も含め、100年以上の歴史ある夕張市の鉄道は非常に文化的価値の高い路線でした。
走る文化遺産、鉄道の走るまちとしての魅力という面を失うことになるダメージがあるでしょう。
どのようになっても、何らかの形でこの夕張市の鉄路の魅力は後世に残していければと思います。
それと、提示した条件と言われているものですね。
《1》拠点複合施設周辺と市内各地をバス路線などで結ぶ交通体系の見直しに協力する
《2》清水沢地区のJR所有施設などは市への無償譲渡など有効活用も検討する
《3》JR社員を夕張市に派遣する
1~2はおおむね私も考えていたような内容ですが、3についてはどのような役割を担うことを想定しているかわかりませんので、何とも言えません。
これにはないですが、「次は新夕張駅」とならないよう、新千歳空港からのアクセス、道東との交流活性化策の連携なども進めていって欲しいと期待するところです。
JR利用者と交流人口が増えて、WIN-WINの関係になれるような政策も打ち出していきたいですね。
この決断が衰退の引き金になったと将来言われないように、私も様々な提案を考えていかなければならないと感じました。
市民の皆様が不便にならないよう。また、くれぐれも条件を譲歩したりしないよう、見守っていきたいと思います。
色々と不足もあるかと思いますが、私からはこのへんで
夕張市議会議員 今川和哉