北海道議会、第3回定例会が開催されていますね。
平成28年9月20日(火) 本会議 代表質問
こちらの議事日程において、「道の短期貸付金に係る不適切な取り扱い等について」の代表質問がありました。
この件について書きたいと思います。
この記事は夕張市議会のことではありません。
先月22日の朝日新聞朝刊に「一夜貸し・単コロ…85自治体、会計操作2336億円」
という記事が掲載されていました。
単コロ、単年度転がしは、夕張市がかつて第三セクターの赤字を隠すために行っていた不正会計の手法と同じです。
この記事では、なんと北海道もいまだにこの会計操作を行っているとの報道がありました。
今まで、夕張市は不適切な会計操作で赤字が膨らんだ。
そんな不適切な会計を見抜けなかった議員も悪い。
そして、選挙で市長と議員を選んだ市民は落ち度があるのだから、財政再建計画では不便な生活をしてあたりまえ。
破たん後の夕張市民はそう言われ続けてきました。
北海道も夕張市に「そんなことをしていたとは知らなかった」「不正な会計だ」と厳しい措置をしてきたのではないでしょうか。
「北海道が、かつての夕張市と同じ不適切な会計処理を行っていた」とする記事が本当だとすると、非常に残念です。
これを見抜けなかった道議会議員は、破たん前の夕張市議会議員と同じなのではないでしょうか?
単にお金があるから破たんに至らないだけで、やっていることはあれだけ叩かれていた夕張市と同じです。
なぜ北海道新聞や他の道議会議員が大きく取り上げないのかわからないような大問題だと思います。夕張市の破たんから何も学習していないのでしょうか?
参考記事(朝日新聞デジタル)
朝日新聞デジタル
こちらで本会議の録画を見ることができます。
北海道議会
平成28年9月20日(火)本会議 代表質問
質問者の質問
15:35~
知事の答弁
35:00~
知事からは「その見直しに取り組んでいかなければならない」程度の答弁でしたが、私も道民として是正を切に願います。
〈補足〉
「単年度転がし」ってなに?
以下は大学のときに地方政治の講義で習った程度の知識なので、不足があれば指摘してください。
まず、A市があるとします。
A市は、市内の観光振興のために「B観光公社」を設立していました。
B観光公社は、A市が出資した会社です。
しかし、B観光公社は事業がうまくいかず、年々赤字を積み重ねていました。
B観光公社は、4月~翌年3月が会計年度です。この12か月の間の会計(会社の家計簿)をまともにつけると、稼ぎが5億に対して、支出が10億でした。
それだけではありません、今までの運転資金として、A市から100億円の借金が残っています。
毎年5億円の赤字、さらに100億円の借金、これが明るみに出たらB観光公社は廃業し、A市の市長や担当者は多大な責任を負わされるでしょう…
3月末で会計は閉じるのですが、実は4月~5月の間は「出納整理期間」といって、この間のお金の出し入れを前年度にまたがって行うことができる。
というシステムがあります。2016年4月に移動したお金を、会計上2015年度に移動したことにできるということです。
つまり、実際は3月31日に100億円の借金があったはずのB観光公社ですが、会計上は3月中に100億円をしっかり返済したことにされていました。
どこから出てきた100億円かというと、翌年度に借りたものなのです。
2016年3月にB観光公社はA市から100億円の借金があり
2016年4月に100億円を銀行から借り入れ(この借入れは2016年度の会計)
2016年4月にB観光公社からA市に100億円を、会計上3月に返したことにする。(この返済は2015年度の会計)
2016年4月にA市がB観光公社に100億円貸して、銀行に100億円を返済する。
(以下無限ループただし金額は増加する)
こんな感じでしょうか?まだわかりにくいですかね。
単なる赤字の隠蔽にすぎないですし、利息もつきますし、市民にとって全くいいことはありません。